「森の力」についての考察-音環境-
先日の木育楽会で紹介のあった「森に行くと、多動症の子供もずいぶん落ち着くんです」というお話。森や木の関係の場に行くと、同様に「森に行くと落ち着く」「癒される」という指摘がある。
これについて、私自身の経験則からのつれづれ考察です。
なんでそんな効果があるのか?
ズバリ、森の中は「静か」なんだと思います。
「可聴域」というものがあって、人それぞれ聞こえる周波数の範囲は違いますが、聞こえると認知できる音、できない音含め、「森は静かである」。
何に比べて静かかというと、「人工物でできた建物の中よりも静か」だと思うのです。
人工的な音って、ちょっと不快なキンキン音も含んでいると思うのです。これは私の実感として。
例えば最近液晶テレビに替えたのですが、スピーカの質が落ちたのか、ちょっと高音が強くて最初違和感がありました。今は慣れましたが・・
で、こういう人工的に出している音は、部屋の中の人工物に反射して、ますますキンキンすると思うんです(後述しますが、実感として)。
表面が樹脂の扉とか、ナイロンのカーテンとか、家電(プラスチック)とかって、表面がツルツル固いのでよく跳ね返ると思うんですよ、音が。
たいていの人は慣れて、問題なく暮らしているのですが、森の中だと、そういう不快音がない。
音を出す方も自然物だし、周りにあるものも自然物だから、音そのものに不快さがなくて(※)、なおかつ出た音は吸収される。木の表面や、土、そこにある枯葉など、すごく表面が柔らかいな、吸音するよなこれはと、個人的にはびしびし感じます。
※根拠は、と言われると科学的ではないですが、想像として、森の中の音=人類数万年の進化の過程の間じゅう聞いていた音なんで、不快扱いはしないんじゃないかなと。
特に子供なんて、可聴域が広いと言われています。高い音がよく聞こえる、モスキート音の話もよく聞きますね。だから、人工的な部屋にいると、単純にうるさくてイライラしているんじゃないかなーと想像しています。森に来ると音がなくなって落ち着くのではないだろうか。
私の実感では、「古民家」も音を吸収します。
子供の頃の祖母の家は、築200年超の茅葺き屋根の家でした。その中の静けさと言ったらなかったです。その時は、広い屋根裏空間があるから音を吸収しているのかなーと漠然と思っていました。
大人になって、いわゆる「古民家」で、おそらく明治くらいに建てられた瓦葺きの2階建ての家にお邪魔したことがありますが、そこも静かだった。その時も、純和風の建築で形作られる空間が静かなのかな、と思っていました。
さらに、東京・目黒にある東京都庭園美術館の建物も、中は静かでした。それは、昭和8年に建てられた、完全なる洋館です。
■東京都庭園美術館 沿革
ということは、空間の形が吸音しているのではない。
おそらく天然資材で出来ていると、その部材が吸音してくれるのではないかなと。土間、柱、天井板、建具、壁紙、絨毯、大理石でさえも。
住宅メーカーが以前実験で、コンクリでできた箱と、木材でできた箱にネズミを入れて寿命を測っていたことがありましたね。結果は、木材箱の方が長生きでした。
■静岡大学によるマウス実験(どのページ見ても同じ実験を根拠にしているのが若干心配ですが・・いろいろな観点で実験してほしい)
「森には人を癒す力があるんです!!」と声高に言うと、怪しい世界に聞こえてしまう懸念があるので笑、一応科学的に(?)考察してみました。
こちらは林業女子会@静岡のワークショップで作った、木のチャイム。
スピーカからの音とは全然違う、やさしい音がします
ご意見いただければ幸いです!