しもじも・遠州街並ツアー報告 その2

「天竜」と一言に言っても、大変広い地域を指します。
とても広く言えば、天竜川が流れているあたり全部が天竜とも言えます。

その中で、今回見学した地区は、「天竜区二俣町」という場所。山の玄関口と言える場所です。
「二俣みがきの会」は、その地区を盛り上げていこう! という地元の有志の集まり。

街中に散在する「蔵」などを、保存していこうという啓蒙、さらに、可能であれば、荒れてしまった蔵や建物をお掃除をしちゃう(=みがく)という、強い気持ちを持ったみなさんです。

蔵。そこここにあります。けっこう荒れてしまっています。
今の時代、蔵を活用する必要がないからかなあと思ったり。

なぜ、昔の建物が「良い」と思えるのかは、不思議です。
“味がある”、”技がある”、”なぜか懐かしく感じる”、そんな表現はできますが、その実体は何? これはいつも疑問に思うことです。

個人的に好きだと感じる点は・・・
・木を使っているのが好き。見た目に安心する。木目を見るのが好きだから。
・使っている材料に、みんな物語がありそうで、見ていて楽しい。手作りのガラスやら、レンガやら、タイルやら金具やら、窓を開ける仕組みやら。
・建物の外側も、建物の中も、何とも言えないどっしり感がある。揺るぎない感じ。なぜかは分からないが。そのおかげで、自分の気持ちも背筋が伸びる気がする。

手作りガラスを使った、蔵の扉。真っ平らではないので、うねっている反射の様子が見える。
これって、プライバシーを程よく守れたりする?

みがきの会のみなさんが掃除しまくった、旧役場。初めは荒れ果て、誰も見向きもしなかったそう。でも、みがいてみがいて、美しくなった今では、「ここでイベントをしたい」という団体が現れるようになったとのこと。
宝は磨けば光る。光れば気付く人もいる。
誰かがキレイにしてくれたから、じゃあ使いたいだなんて現金だな〜!とも思っちゃいますが、光が増すほどに、届く範囲が広がって行くわけですから、そういうことです。

そしてついに、この建物が、「本田宗一郎記念館」として整備されることが決定したとのこと! 本田宗一郎は、この町の出身なのです。
この決定がみがきの会さんたちにとってベストなことなのかどうかは聞きそびれましたが、みがいてみるもんだと、思いました。

だって、言ってしまえば、「掃除した」だけ! でも、そこ目を向けて掃除をしようと思い、実際に掃除をし、きれいな状態を維持し、「きれいになりましたよ〜 使えますよ〜」と言い続ける。どれも何も難しいことじゃないが、実際にやり、継続するには力(思い)が要ります。難しいことじゃないから、やらない良い訳もできないし。
それを実行している。しかも、一人でじゃなくて仲間で。すばらしい。感動しました。

デザイナーの皆さんは何を思ったでしょうか?

次回は、藤森照信氏の建築「秋野不矩美術館」へ!