杉の基礎知識 その3 街生活と杉

早くも3回目を迎えました、杉の基礎知識。
山にある杉について2回考えてみたところで、早速、街での杉も考えてみたいと思います。

街での杉。
3年くらいスギダラしていて、さっきやっと気付いたのですが、
街に杉って、ほんとうに存在していませんね。

・・・実家があまりに自然に囲まれていて、東京にいたときもスギダラなオフィスで仕事をしスギダラな各地を巡業するという幸せな生活を送っていたため、うっかり、街にも杉があったり、一般的な都会人も適宜杉に触れる生活をしているもんだと思っていました。嗚呼びっくり。

では早速、
人口80万の中堅地方都市:浜松の街生活にて検証してみましょう。
(あまりに素人なので、材木を見ても明確に木の種類が判定できませんため、「杉チェック」というよりも「木製品チェック」となっておりますが、ご了承ください)

◎駅と杉
JRの浜松駅に、杉(=木製品と思ってくださいね)は存在しません!
 例外は・・・
 ・ホームのベンチ
 ・駅ビルのお店の意匠的内装
 だけですね。入り口のトビラの取っ手すら木じゃないです。金属。
枕木も今はコンクリートですし、建物もコンクリートか石か金属です。

駅のベンチ(これは遠州鉄道の駅)
月刊杉web32号 浜松市・街とスギもご参照ください

◎道と杉
街路樹! 木ですね。
でもそれだけですね。
20年くらい前にはちょくちょく見かけた木製電柱も、とんと見かけなくなりました。(街中は電線地中化してますし)
ガードレールやら、側溝のフタやらも、プラスチック(?)・・とにかく固い樹脂や金属です。
ちなみに、藤森照信氏設計の秋野不矩美術館への道の側溝は、木製でした。(写真がなくて恐縮です)。良い使い方のように見えました・・気になりますね。

◎ショッピングセンターと木
我家は、最寄りのお店が市内屈指のショッピングセンター、という非常に便利な場所に位置しているので、その一大アミューズメントゾーンについて考えてみます。ショッピングセンターのみならず、ゲームセンター/スポーツジム/家電店/パチンコ屋/飲食店など、ありとあらゆるものが揃う場所です。
植栽! 木ですね。特に、ショッピングセンターは、周辺住民参加でランダムにランダムな樹種を植えるという、自然に近い植栽をされていて、とてもおもしろいと思いました。
その植栽の土止めは木製でした! 偉い!
でも、以上!ですね。

あとは、例の如く、お店の意匠的内装としての木だけです。(パチンコ店に入ったことはありませんので分かりませんが・・・)

ちょっと思いついたので書きますが、ショッピングセンターにある広々とした駐車場の車止めを間伐材で作ったらどうでしょうね? 1年もしたら朽ちると思いますが、そのメンテナンス自体をイベントにして、取り替えを行い(作るところからやっても面白そう)、古い”杉車止め”でキャンプファイヤー! という夏の行事、面白いんじゃないでしょうか! 

◎家と木
一般的な家を思い浮かべると・・・
床板・・合板。最近では、ビニール的なものですらあることも・・防音のため?
トビラ・・玄関のトビラは金属製?
戸・・室内の戸も、メラミン化粧板に見えます。もしくは合板?
障子・・そんなものが存在しない家も増えましたよね
机・・合板/突板など? 無垢の机に出会うことは滅多にない
食器系・・漆調のプラスチック。お盆なども、プラが多い。
収納用具・・プラスチックのケースだとか、合板やメラミンの家具など。
最近は鉛筆も使わなくなったので、そういうカケラさえ見ませんね。

◎オフィスと木
オフィスに木は、100%存在しない といってもいいのではないでしょうか。
机・・金属だかメラミンだか、木目調のプリントがされている、素材不明のものが多い
収納・・金属やプラスチック
床・・人工繊維のカーペット
壁・・金属? コンクリート? とにかく固い素材。

自分が生活している場所を思い浮かべて書いてみました。
都市・街に暮らしている方々においては、大差ないのではないかと推測します。

木に触れる、物理的に触れることも目に入ることも、滅多にない生活。
それが日本の都会の生活なんですね。

それが悪いのかどうかは分かりませんが、私個人的には、木の手触りと見た目が好きですし、湿度調整などの嬉しい機能もありますし、もっと多くの木が身近にあっていいように思いますね。

一家に一台スギの家具。

このキャッチフレーズがやっと、心に届きました。
一家に一台、もしくは一個の杉道具が増えれば、それだけで杉率がずいぶん上がるわけですね。