岐阜の陣 報告1
親和木材さんの見学を中心とした岐阜ツアーを行いました。
3回に分けてご報告します。
まず最初に、親和木材さんの工場見学。
何よりも印象に残ったのは、親和木材さんの木材流通革命です。
木材の市場価値が高かった時代に形作られた木材の流通経路は、市場価値が下がってしまった現在では苦しい(利益が生まれづらい)状況に陥っています。これに、経路や役割を変えることで対応できないか、と模索されています。
その1つが、「山から切り出した材を、全て引き取る(購入する)。親和側で等級を判断し、A/B/C級の数量に応じて購入金額を算出する」という方法です。
これまでや現在の主流は、「市(いち)」に木材集約し等級で選別、品質の悪いものは、はじかれます。この方法だと、山→市→工場 というように輸送が2回ありますので、2回分の輸送費がかかります。最低でも2mというの大きなものの輸送ですから、コストがかかります。材木の単価が安くなっている昨今では、この輸送費が30%〜40%程度も占めるとのこと(1200円の木材のうち、400円程度が輸送費)。
これでは、成り立ちません。
社会や状況が変化する中で、変わらず恩恵(利益)を得るには、創意工夫が必要です。親和さんでは、一つの解として「全買い取り」に取り組まれています。
引き取ったC材(腐っていたり、虫が入っていたりする。普通であれば、購入されることがない)も、可能な限り利用します。採算のためということももちろんありながらも、ここまで育った杉を無下に扱いたくない、という気持ちの表れです。
「枝虫」とは、文字通り「枝の切り口から木に入り込む虫」のことです。虫が居た場所には、空間ができますので、そこは材にすることはできません(チップにするしかない)。
私を含め、ツアー参加者の中には過去杉ツアーに何度も参加していたメンバーもいたのですが、初耳のお話でした。おそらく、通常このような”不良材木”は「市」の選別機能によりはじかれ、私達の目に触れる機会がなかったのだと思います。
杉について、そこそこ詳しくなってきたなどと思っていたところもあったのですが、まだまだだと改めて感じました(そりゃ、たまーに見学に行くだけの素人ですから、知らないことばかりに決まっていますね!)
親和さんでは、こういった材などから発生する「切れ端」を、フィンガージョイント(※)などの手法でつなぎ合わせ、大きな材として使えるように加工しています。わずか20cm程度の材も、ジョイントされていました。そこに、親和さんの姿勢が見えます。
※木材の接合方法。